空を飛べず、海での生活を送る鳥の代表は南半球に住むペンギンですが、北半球にもかつてペンギンによく似た生き物が生息していました。
それが1840年代に絶滅してしまった「オオウミガラス」です。
オオウミガラスが絶滅するまでの歴史は、人間の身勝手が招いた悲劇として有名です。
今回はオオオウミガラスの生態とともに、その絶滅までの過程をご紹介します。
オオウミガラスの生態
オオウミガラスは鳥綱チドリ目ウミスズメ科の生き物です。
グリーランド、アイスランド、イギリス沿岸など、北極圏の周辺や大西洋に生息していました。
17世紀ごろから人間の乱獲が始まり、1844年に最後の1羽が捕獲されて絶滅してしまった飛べない鳥です。
体長は約80㎝、体重は約5㎏という大きな体をしていました。
外見や体の動きはペンギンによく似ており、翼は泳ぎに特化した形状となっています。
飛ぶことができず、陸上ではペンギンのように後ろ脚でよちよちと歩き、海中以外で素早い動きはできませんでした。
頭部は黒、腹部は白色で、目の上には白い大きな斑点があります。
潜水して狩りをおこない、魚類やイカなどの軟体動物を食べていたといわれています。
6月の繁殖期になると、島などに上陸し1つの大きな卵を産み、1か月以上抱卵してヒナをかえしていました。
オオウミガラスの絶滅理由
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オオウミガラスの羽毛や油の利用や、卵の食用は8世紀ごろから始まっていたと考えられています。
16世紀にフランスの探検家がニューファンドランド島で大量のオオウミガラスを殺した話が広まると、各地でそれをまねるように乱獲が本格化しました。
オオウミガラスは空を飛んで逃げることもできず、そもそも人間への警戒心がほとんどなかったため、簡単に人間につかまって殺されてしまったのです。
18世紀中ごろには生息数がわずかとなり、繁殖地も限られるようになってきました。
残念なことに、「数が少ない貴重な動物」として収集家が高値で取引をするようになったため、乱獲は止まらず、1844年に最後の個体ははく製にするために殺され、絶滅しました。
オオウミガラスが最後に目撃されたとき
最後に確認、捕獲されたオオウミガラスについての記録が残っています。
1844年の6月、アイスランド沖のエルディという小さな岩礁にいた、抱卵中のペアが最後のオオウミガラスでした。
発見者はペアの1羽をこん棒で殴り、もう片方は絞め殺して捕獲したといいます。
ペアによって温められていた1つの卵も割れ、この世から生きたオオウミガラスは姿を消したのです。
オオウミガラスとペンギンの違い
オオウミガラスとペンギンや体や生態がよく似ています。
しかしながら、ペンギンが南半球にしか生息しないのと違い、オオウミガラスは北半球にしか生息していませんでした。
また、ペンギンはペンギン目という分類群を形成していますが、オオウミガラスはチドリ目のウミスズメ科で、大きく異なる分類群です。
ウミスズメ科の鳥にはエトピリカやウミガラスなどがおり、これらは今でも野生化で見ることができます。
生息地や分類群を大きく隔てるペンギンとオオウミガラスが、なぜそっくりな生態となったのかは解明されていないのが現状です。
まとめ
・1844年の6月アイスランド沖のエルディという小さな岩礁にいた抱卵中のペアが最後のオオウミガラスだった
・オオウミガラスは1844年に最後の個体ははく製にするために殺されて絶滅した
・オオウミガラスはチドリ目のウミスズメ科で、大きく異なる分類群なのでペンギンとは全く違う鳥類
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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