皆さんはスベスベマンジュウガニという名のカニをご存知でしょうか。
インパクトが強い名前なので存在を疑われる方もいるかもしれませんが、れっきとした正式名称で実在するカニなのです。
しかし、このカニは名前のユニークさとは裏腹に、取り扱いを誤ると非常に危険なカニと化します。
ここではスベスベマンジュウガニの実態についてご紹介したいと思います。
スベスベマンジュウガニの特徴・生態
スベスベマンジュウガニはエビ目オウギガニ科に属するカニの1種です。
甲長(甲羅の前後の長さ)約3cm、甲幅(甲羅の幅の長さ)約5cm程度の小型のカニで、インド洋から西太平洋にかけて分布しています。
日本では千葉県以南から沖縄県の太平洋側で見られ、岩礁海岸とサンゴ礁帯の干潟から水深100mほどまでに生息しています。
体色は褐色を基調に赤みが強いものや紫がかる個体もおり、いずれも淡灰色の班模様が入ることが特徴です。
また、ハサミの先端部分は黒色に染まります。
本種は特に珍しいカニではなく動きも緩慢なため、干潮時の潮溜まりなどで普通に見ることが可能です。
普段は岩の隙間や貝の中などに身を隠し、海藻や貝類、多毛類などを捕食しています。
本種はクロダイの好物ということで、クロダイ釣り用の餌として「タンクガニ」の名称で販売されていることもあります。
詳しくは後述しますが、本種は強力な毒性を持つため食用には適しません。
しかし、攻撃性が高いわけではなく、食べでもしない限りは毒による中毒も起きません。
そのため、名前がユニークでずんぐりとした体形が可愛らしいことから、水族館での展示目的やペットとして飼育されることも多いカニです。
スベスベマンジュウガニの名前の由来
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スベスベマンジュウガニの甲羅は凹凸や突起物が少なく、陸に上げると光沢を放つほどに滑らかです。
また、甲羅は楕円形で丸みを帯びています。
これらの造形がスベスベとした饅頭のようであることからスベスベマンジュウガニと名付けられました。
スベスベマンジュウガニの毒性
スベスベマンジュウガニは強い毒素を持つことが知られています。
毒の種類としては、麻痺性貝毒のサキシトキシン、ネオサキシトキシン、ゴニオトキシンに加え、フグ毒であるテトロドトキシンも検出されています。
スベスベマンジュウガニが持つ毒の量と種類は地域差が大きいです。
北の方に分布している個体はフグ毒を持つの対し、南の方に生息している個体はフグ毒を持つものと貝毒を持つものの両方が見られます。
中間地点の四国地方に生息するものは1個体が双方の毒を持つ、という調査結果があります。
このことから、同種が持つ毒は餌に由来していると推測可能です。
スベスベマンジュウガニが毒を作り出しているのではなく、餌が持つ毒の違いが同種の毒の成分と量を決定づけているのです。
スベスベマンジュウガニの毒は主に外殻に加えて、脚とハサミの筋肉に多く含まれています。
毒が溶け出したり注入されることはないので、こちらから触ったり逆にハサミで挟まれたりしても中毒症状は起きません。
これらの部位に毒が多いのは防御に役立てるためと言われています。
同種は外敵に襲われた際、ハサミを振りかざして威嚇したり、自切して逃げようとします。
つまり、捕食されやすい部分に毒を蓄積させておくことにより、捕食者を毒で攻撃するとともに自らの身を守っているのです。
まとめ
・スベスベマンジュウガニは珍しいカニではなく磯観察などでも比較的よくみる
・スベスベマンジュウガニの名前の由来は造形がスベスベとした饅頭のようであることから付けられた
・スベスベマンジュウガニの毒性は非常に強く、体全体に含まれている
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最後まで読んでくれた方、ありがとうございました!
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