生物学の世界では、それまで一般的に言われていた生物の種名が見直されたり、分類体系が修正されることがよくあります。
ある種名が付けらている生物をよく調べたら、実は2つの種がごちゃ混ぜになっていた!なんてことが報告されることもあるんです。
今回は、それまで「オニイトマキエイ」だと考えられていたものの、調査の結果別種だと確認され、新しく種名のついた「ナンヨウマンタ」についてご紹介します。
ナンヨウマンタの生態
前述の通り、ナンヨウマンタはそれまで「オニイトマキエイ(通称:マンタ)」とみなされていたものの中に混ざり込んでいた種です。
2009年12月に研究論文が発表され、オニイトマキエイ属のオニイトマキエイManta birostrisからナンヨウマンタManta alfrediが独立しました。
その後、ナンヨウマンタはオニイトマキエイ属ではなくイトマキエイ属に分類されるべきであるとされ、学名はMobula alfrediに変更されています。
それまでオニイトマキエイに混同されていたくらいですので、その生態はオニイトマキエイとよく似ています。
菱形で扁平な体をもち、大きな鰭を上下に動かして海中をゆったりと泳ぎます。
餌はプランクトン類で、海水ごと吸い込みえらで漉しとって食べています。
ナンヨウマンタとオニイトマキエイを見分けるのは簡単ではありませんが、外見からわかる違いもいくつかあります。
どちらの種も顔の横から黒い背中の中心に向かって白い模様が入っていますが、この白い模様の口(口裂)に近い側が、口のラインと平行に近くなっているのがオニイトマキエイです。
ナンヨウマンタは上記の部分が尾の方に向かうように、斜めになっています。
また、腹側から見たときに確認できるのが、口の周囲の色です。
オニイトマキエイは口の周囲に黒い部分が多いのですが、ナンヨウマンタの場合は白や灰色っぽい色をしています。
水族館などでマンタの仲間を見かけた時には、ぜひ体の模様に注目してみてください。
ナンヨウマンタの生息地
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ナンヨウマンタが生息するのはインド洋や太平洋の中でも特に温かい、熱帯や亜熱帯の海域です。
日本でも沖縄県周辺の海域に現れることがあります。
オニイトマキエイに比べ、ナンヨウマンタは生みのそれほど深くない沿岸域まで近づいてくることが多いようです。
ナンヨウマンタの最大の大きさ
一般的にマンタというと、その体の大きさが真っ先に思い浮かびます。
ナンヨウマンタとオニイトマキエイが混同され、まとめてオニイトマキエイと呼ばれていたときは、その大きさは「横幅で3~5m、時には8mほどにもなる個体がいる」と説明されてきました。
ところが、この2種が別のものであるとみなされると、その大きさに差があることが分かってきました。
基本的に、ナンヨウマンタはオニイトマキエイよりもやや小さめの個体が多いようです。
ナンヨウマンタは最大でも横幅5m以下で、6mよりも大きくなる個体はオニイトマキエイだといわれています。
個体差もあるので、サイズだけでこの2種を判別することはできませんが、ナンヨウマンタの方が小ぶりである、ということを覚えておきましょう。
まとめ
・ナンヨウマンタは2009年までオニイトマキエイと混同されていた
・ナンヨウマンタはインド洋や太平洋の暖かい地域に生息する
・ナンヨウマンタはオニイトマキエイよりも大きくならず、おおむね5m以内
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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