みなさんはカツオノエボシという生き物をご存知でしょうか?
エボシ(烏帽子)のような不思議な形の浮袋と長い触手を持ち、ぱっと見は生物にすら見えないような外見をしています。
日本ではカツオのやってくる初夏ごろになると見られることが増えますが、このカツオノエボシは恐ろしい毒を盛った要注意生物なんです。
今回はそんなカツオノエボシの生態と毒性、毒の成分や刺されたときの対処法についてご紹介します。
カツオノエボシの生態
カツオノエボシはクダクラゲ目カツオノエボシ科に属するクダクラゲの一種です。
温暖な海に生息しており、日本の南部の海でも見られることがあります。
青みがかった透明の浮袋をもち、海面に浮かんでいる姿は小さな空気の入ったビニール袋のようにも見えます。
浮袋は大きさが10㎝程度ですが、水面下にはなんと10~50mの触手がのびています。
自分で推進力を生み出すことはできず、海面に突き出た浮袋に風を受けて漂流するのです。
海からの強い風が吹いた後や台風の直後などは浜辺に打ちあがっていることもありますが、後述するように強い毒をもっているので、触らないようにしてください。
クダクラゲ類はミズクラゲやエチゼンクラゲのような、一般的なクラゲとはかなり異なる生き物です。
なんと、ヒドロ虫という小さな刺胞動物が集まって1つのクダクラゲ類の個体を形成しています。
ヒドロ虫は触手になるものや浮袋になるものといった役割分担をおこない、それぞれの場所で隣のヒドロ虫と融合してカツオノエボシの体を作っているのです。
カツオノエボシの毒性と強さ
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カツオノエボシは触手に毒性のある毒針が入った刺細胞を持っています。
その毒は大変強力で、人が刺されるとまるで体に電流が流れたような強い痛みを感じることから「電気クラゲ」と称されることもあるほどです。
あまりの激痛に意識を失いかける人や、その場で倒れてしまう人もいます。
水中で刺された場合はパニックを起こさないよう、冷静かつ迅速に陸へ上がりましょう。
カツオノエボシの毒の成分
カツオノエボシの毒は、ペプチド(アミノ酸が複数つながってできる物質)や複数の酵素が混ざり合って構成されています。
1900年代にはフランスで、「ヒプノトキシン」という成分がカツオノエボシの触手から抽出されました。
このヒプノトキシンを動物に注射すると、神経のマヒがおこった後死亡してしまうことがわかり、カツオノエボシの毒素を構成する一成分であることが判明したのです。
この名前はギリシャ神話の眠りの神「ヒプノス」になぞらえて命名されました。
カツオノエボシに刺されたときの症状
刺細胞から発射された毒針に刺された部分は赤く腫れ、激しい痛みやマヒが長時間続きます。
高熱が出ることもあり、症状が治まった後も赤く腫れた部分はやけどをしたような跡が残ってしまうことが多いです。
2回目に刺されると体が過度のアレルギー反応を起こすアナフィラキシーショックを起こすことがあり、呼吸困難や嘔吐の症状が現れます。
最悪の場合は死亡してしまう可能性もあるため、一度刺されたことがある人は注意が必要です。
刺細胞の毒針は浜辺に打ちあがった個体の触手からも発射されますので、見つけても絶対に触ってはいけません。
そして、刺されてしまった場合はすぐに救急車を呼ぶなりして、病院に行くようにしましょう。
まとめ
・カツオノエボシは青みがかった透明の浮袋をもち、海面に浮かんでいる姿は小さな空気の入ったビニール袋みたいなクラゲ
・ペプチド(アミノ酸が複数つながってできる物質)や複数の酵素が混ざり合って構成された毒
・刺細胞から発射された毒針に刺された部分は赤く腫れ、激しい痛みやマヒが長時間続き
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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